[発光、そしてキノコ雲]・・・その後
ガンマニアなら誰でも一度は襲われる感情
「本物を打ちたい」
その集大成が、海外で撃ちまくり番外編bT-密輸-で捕まる結果になったのだが・・・
そのルーツが兆弾の経験だった。
人は人生の中で3度命に関わる危険を経験すると言う
その一つがこれだったのかもしれない・・・
前話「発光そしてキノコ雲」で悪の師匠(敬愛)である「しんちゃん」とはその後も
悪行を2人で重ねていった。
小学生でタバコを吸えるようになったのも「しんちゃん」のおかげ?
面白かったのは午前零時にモデルガンを2丁ずつ持ち、地区内で映画に様に
打ち合いながら路地を逃げ回った。
深夜なのでその音の響く事と言ったら気持ちよかった
暗闇は怖いが本当に刑事になった気分で、どこに隠れているか分からない「しんちゃん」を
探しながら人の家の塀の脇で飛び出して構えたりしたものだ。
そしてそれは「青少年育成会」なる組織を作らせる原因の一つになった
そして父もその一人でありぽつりと言ったのを覚えている
「最近この辺りで夜中花火か何かを鳴らしている子供がいるらしい
 ったくどこの子供だか!」
あなたの息子ですとは言えなかった
そして育成会による[深夜巡回]と言う結果を生み夜中の銃撃戦は幕を引いた。
そんなある日、私の一言が「しんちゃん」を本気にさせた。
「しんちゃん、家のお父さん本物のライフルもってるよ!すごいでしょ!」
間髪いれずしんちゃんは答えた
「持ってこい!」
「 えっ!・・・  やばいよ・・  それは・・・」
間髪いれず2言目
「持ってきたら欲しがってたP38やるよ!」(ワルサーP38→ルパン使用)
  すぐ取りに行った。
当時父が持っていたのは中折れ式のエアーライフルで、銃身が中心から折れるタイプの
銃だった、資格も簡単だったので当時持っている人は結構いたらしい。
 ←これはHIRO君のコレクション
 (中折れ式ではありません)
上は初代ミステリーゾーンの
第 9話
[県警機動隊]
長野県警機動隊を出動させて
しまったSS9(改)カスタム。
下は同じくSS9のフルカスタム
危なくてとても撃てません。。;
ちなみにスコープは軍で使用の
本物です!

スチール缶なんてかる〜く・・・
これ以上は言えません!
話は戻る
エアーライフルとはいえ鉛の玉で100メートル程度は軽く狙える代物。
鉄の銃身は小学生だった私には重く、持って撃つのは困難だった。
父はよく雀など鳥を撃っては焼いて食べさせてくれた
やはり本物は格好よくて、撃つ時は必ず横に一緒にいた
「鳥が逃げるから音を立るな」と毎回言われたので父と私は伏せたまま
鳥が来るのを何時までも待っていた覚えがある。
エアーライフルの圧縮比は結構高く、打つときの音は何度聞いてもビクッ!と
するほど大きな音がした。
そしてそれを持ち出した。
弾は引き出しの箱のなか、バレないように数個だけつまんだ
私の背丈と同じライフルを抱えて隣の「しんちゃん」の家に飛び込んだ
どきどきしていた、バレたらただでは済まないだろう。
中折れ式の方法を教えた
:銃身を中間から折り曲げる
:同時にバネが押されて行き、最後にガチッと引っかかる(かなり力が要る)
:そして弾を込める
:銃身を戻す(カシャッと心地良い金属音)

「しんちゃん」は何のためらいもなく部屋のドアから向かいの家の屋根の上にいた
カラスに狙いをつけた
ターン
もちろん私はビクッ!となったが「しんちゃん」はその威力にもっと驚いた!!
驚きで動けない2人の上をカラスは飛び去った
窓の外に無数のカラスの羽が舞うように降ってきた・・・羽をかすめたらしい。
おお〜い、こりゃすげ〜な!
その顔は今までに見たことが無いほど驚きと悪がきの顔だった。
弾に限りがあるので無駄撃ちは出来ない
「電話帳を何枚抜く事が出来るかな〜」としんちゃんは電話帳を壁に立て掛け撃った
部屋の中に反響する音と同時に電話帳が崩れた
貫通した・・・・・
だんだん怖くなってきた
そしてコップを庭に置いて撃った
跡形も無く吹き飛んだ、粉々になったガラス片が雨のように降ってきた
最後の1発!
「しんちゃん」は暫く考えた後一升瓶を持って来て言った
この口の部分から撃ったら底抜けるかな?
「口・・・小さいからうまく弾入らないんじゃない?」
「大丈夫だよ、ビンの口に入れて撃つから」
そう言うと一升瓶を寝かせて、おもむろに銃口を一升瓶の口の中に突っ込んだ
「しんちゃん、弾跳ね返ってこないよね?・・・」私の問いに
「・・・・  威力あるから抜けちゃうよ、大丈夫大丈夫!」
ビンの底が円形に内側へ湾曲している意味を私達は知らなかった
銃を口に差込撃とうとしている「しんちゃん」の後ろから顔をだして覗いていた私は
何故か無意識にそこから1歩左へ移動した、そして背けるように顔を左へ傾けながら
一升瓶を横目で見ていた。
でゅ〜ん!
一升瓶の中でこもった様な反響音
ビンの底が円形のまま抜けて30センチ程先に飛んだのが目に入ると同時に
シュン!
 と言う音が私の顔の右頬をかすって行った・・・
兆弾である、円形に湾曲した底に当たった弾は少し角度を変え跳ね返って来たのだ
まるで猫のシッポがスーっと触れたような風圧を耳元に感じた
「おお!そのままの状態で底抜けた〜」と喜ぶ「しんちゃん」
その横で 私は血の気が引いた・・
もし最初の位置で動かなければ間違いなく顔面に弾を浴びていただろう。

底が湾曲しているのは強度を増す為でありビンやボトルは当たり前に全てそうなっている
そこへ垂直に衝撃を与えても球状は反発するだけ・・・
今でこそ簡単な答えなのだが・・・・。
その後しばらく兆弾の音が耳から離れず思い出せば思い出すほど
恐怖心を募らせたのだった

その音は23年経った今でもはっきり覚えている。

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