密輸
平成6年10月21日、私は妻の前で空港の税関に捕まり特別室に連行された・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
事の起こりは一週間前の10月15日、成田から友人夫婦と私達夫婦の新婚旅行。
平成6年5月に結婚式を挙げていた私は、その時は3泊の国内旅行をした
仲の良かった友人が10月に挙式を控えていたため、一緒に行こうと約束をして
いたからである。
10月、彼らの挙式後そのまま成田に向かい、空港近くのホテルに一泊。
翌朝成田を出発った。
台北で一度乗り換え、約10時間のフライト後プーケット島に着いた。
まぁ旅行の内容は読みたくもないだろうからここでは書くまい。
・・・でもちょっとだけ、シェラトンホテルのスイート
そのスイートはホテルとは独立して湖に浮かんでいて部屋からそのまま船で海まで
出れるようになっていて・・・・最高。
以上自慢終わり!
事の起こりは3日目の朝、朝食をとりながら今日は何処に行こうか4人で話をしていた
当時私はガンマニア(今もそうだが)で、どうしても銃を撃ちたかった。
食後リムジンで銃を撃てる所に行きガンガン撃ちまくった。
357マグナムも良かったが、ガバメント(コルト)は45口径だけあって反動が凄く興奮した
拳銃は2通りある、リボルバー式とブローバック式である
どちらか言うとブローバック式が私は好きで、1発撃つごとにスライドし空薬莢が飛び出し
コンクリートの床に薬きょうの乾いた金属音が響くのが好きだった。
その音を聞いているうちにどのくらい下に落ちているか気になり見てみた。
古いのからまだピカピカの新しい物まで無数に転がっていた。

「これ・・・欲しい」ガンマニアなら誰でもそう思うはずである・・(俺だけか?)
聞いてみた「これ貰っていっていい?」
現地人通訳「 ダメ 」
そこで友人と一服しながら計画を練った(馬鹿だね ホント)
「嫁2人にライフルを撃たせよう、多分きゃーきゃー言うから皆の視線が
 そっちに注目するじゃん、そのすきに取ろう」
「ば〜か、そんなの上手く行く訳ね〜じゃん!」

    上手く行った・・・
2人共ポケット満載の空薬莢!
リムジンに戻ったあと大笑い、
妻達2人は「ちょっと大丈夫なの、捕まんない?」
馬鹿1「ば〜か大丈夫だよ、空だぜ! ただの鉄と同じだもん  な! 」
馬鹿2「そうだよね、撃った後のだからただの鉄!」
これが飛行機を遅らせるほどの最悪の事態になろうとは・・・

5日目、シェラトンを出発ち、一路シンガポールに向かう
それでもやっぱ心配だったので、スーツケースには入れずにポケットに薬莢を入れ
先に友人が金属探知の枠を潜った

「 ピーピーピーピーピー 」 わっ! ヤバ!!
視線が集まる・・・・
しかし友人は上手かった、薬莢を入れてる同じポケット内に車のカギを入れていた
「これこれ」と言いながらチャラチャラ音をさせて取り出した。
そんなんで誤魔化せる訳ないじゃんと思いつつ・・・
検査員「オ〜・・ OK!」

  誤魔化せた・・・
同じ手で無事私も通過、シンガポールに降りた。
2日間ブランド物を買いまくった、そして金がなくなった。

そして最悪の7日目が来る。
日本に向かうため空港に行った、前回成功したので今回も同じ作戦で行く事にした。
かなり込み合っていてゲートは詰まりまくっていた
離陸時間が迫っている。
まず妻が通る・通過、そして私が通る・・「ピーピーピーピー」来た来た(余裕)
しらじらしく「あっ、これこれ・・・」ポケットに手を入れ用意していたカギを・・ ?
 あれ? ・・・・  無い  (冷や汗) やべっ! セカンドバックに入れたままだっっ!
検査員「ペラペラペ〜ラ!」 多分
全部ここに出しなさいかなんか強い口調。
その後ろで友人夫婦は無事通過 (なんでやねん!)
ポケットから出ること出ること、薬莢約30こ ジャラジャラ!
検査員の目が変わると同時に無線で連絡!
すぐに別の3人が応援に来る
その内の1人がたどたどしい日本語で言う
「ほかの荷物、出せ!」 セカンドバック、スーツケース、紙の手さげを出す。
それらの荷物を別の検査員に持っていかれた。
私自身は両方を検査員に挟まれどこかに連れて行かれた
振り向くと、女性の検査員が妻を待合の椅子に座らせようとしていた
そこにいた大勢の人々がスローモーションのように映っていた・・
まるで犯罪者を見るように・・・

おれはやってない! 無実なんだ〜!
   とは叫んでいない。。
別室に連れて行かれた後、尋問攻めにあった
「なんでこれを持っている?」
「何に使う?」
「何処から持ってきた?」
「いつから持っている?」
「おまえやくざ?」
「パスポートだせ!」
それと同時に荷物全部床にばら撒かれた
なんとスナック菓子や残っていたラーメンなども全部やぶかれ机に中身を出している。
中身の見えないビニールと言うビニールも破き中身をチェックしている。
尋問は続く
「これは危険なもの、あぶないのわかるか?」
「前につかまったか?」
「ぺらぺらぺ〜ら」
後は忘れた
結局全て没収!
出された荷物は自分で入れろと言われた。
40分ほどその部屋に拘束されていた
そのまま飛行機に乗る通路に連れて行かれ早く乗れと言われた
機内に入ると友人夫婦と妻は心配そうに私を見たがそれよりも
40分も飛行機を待たされた乗客全員の熱い視線が痛かった・・・
友人が一言言った「俺の半分やるよ」   「うん ありがと ・・ぐすんっ」
11時間のフライトの後成田に着いた。
飛行機から出て税関前まで来た時、検査を受けている大勢に向かい
検査員が言った。
「HIRO様、HIRO様〜 いらっしゃいますか?」
「はい? 俺ですけど・・・」 今度はなんだよ・・
また こいつか〜 見たいな視線の中
「機長がお呼びです!」

  きっ!  機長!?
「え〜・・ 今度は何?」と今にも泣きそうな妻
またまた別室に案内された、そこにはビシッとした制服の機長がいた。
「HIROさんですか?」
「はい、そうでうすが・・」
「あちらで聞きましたよ、こう言う事ははじめてなので我々もどう扱って良いか
 困りましたが、私が責任を持って預かると言う事にしました。
 一応危険物と言う事なのでコックピットで保管してきました。
 今後は気をつけてください」
そう言うとアタッシュケースからビニールに入れられた薬莢を出し私に渡した。

「いいの〜?」
彼は一礼し 凛々しい後姿で去っていった・・・
外では心配そうな3人、まるで映画のクライマックス!(そう言う事にしておいてください)
馬鹿2人「な〜んだ、じゃ今度から最初に機長に渡しとこう!」
   どこまでも馬鹿な2人でだった・・・

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

先日子供と庭の砂場で遊んでいた。
子供用ミニスコップで2,3回掘ったところに薬莢が埋まっていた
錆び錆びで・・・・
そう言えば息子が以前言っていた
「たからもん一杯埋めてあるんだよ!」

            

戻る

Copyright (C)1999-2003 office hiro