体験談V 心霊の世界
FILE 86【悩みの罠】 
「実は相談があるのですが・・・・」
そう言う話が来たのは、とある休日の夕方
後日伺う事にした。
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その家は古くからある家で、家族仲良く暮らしている
普通の雰囲気の家庭だった
相談と言うのはその家の娘が
心霊現象を体験すると言うもの。
知り合いと言う事もあり、気兼ねなく家の中を
行ったり来たりさせてもらう
とは言え、前に一度来た事があるだけなので初めてと同じ
別にこれと言って気が付く事もなく悪い気配も感じぬまま
家族がいる大部屋に戻ってきた

しばらく話していると一人の女性の霊が窓から入るようにフッと現れた
私に気が付くとまるで目を合わせないような風で、あっと言う間に
そのまま出て行ってしまい それきり現れなかった
彼女を見守っているのはすでに亡くなっている祖父なのだが
現れた女性の霊はその家族に関係のある女性で
やはりすでに亡くなっているようだ

娘さんは深い心の傷を持っており、自分ではしっかり気持ちを持っているつもりだが
心の中の深い所で引きずっていて時折表に出てしまうのだろう
ストレートに受け止めすぎるやさしい心を持っているがゆえ、必要の無い事まで
すべて受け止めてしまいそれはいつか心の重しとして沈んでいく結果になってしまう。
悩みや相談を受けやすいタイプの人がいる
お茶のみ話の自慢要素が強い悩み不幸談は場の潤滑にもなるが
救いを求め本当に悩み苦しみを話す場合それによって破裂しそうな気持ちの
はけ口となる場合がある
自分の中にたまったマイナスの気が危険度を超えると無意識に心の防衛機能が
働きそうさせるのだろう
要領が良いと言う言い方が適切かどうか別として、うまく聞き流す術を持っている人は
ちゃんと聞いていながら網を潜り抜けるように流していけるのだが
聞き漏らさず感情移入しやすかったり、逆気がさすほどつらい気持ちになる場合
もろにその影響を受ける
目の前でその人の負の念(マイナスエネルギー)を全て貰ってしまう
中には即体調を崩す人もいる・・・その娘さんがそうであるように
まともに正面から受け止め、すぐ擬似体験すらしてしまう
そしていつまでもそれを抜く手立てすら持っていない・・・つまり溜まる一方。
話した側は気持ちが軽くなる為、また溜まってくると話しにやってくる
他の人ではなくその人に・・・自然にその人を選んでいるのだろう
「あの人に話すと気持ちが楽になる」と言う心の指示にしたがって・・・
そして霊もまたそう言う人に寄りやすい傾向にある
「そうじゃない、こうするべき」と言える確固たる信念が一つあればそれだけで
たったそれだけでどちらにも十分抑止力となる
小さくても流される事のない揺るぎない一つの気持ちは
それだけで人を強くもしまっすぐに見えるものである
そう言う人に邪は入れない。

娘さんのマイナスの気をとりあえず全て抜き去る事にし
同時にその後 霊的なものが入らないようにした
「なにかすっきりした!」と明るい笑顔の娘さん
その笑顔があれば大丈夫だろう。

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さて・・・その家に入れなくなったその霊が来たのはそれから3ヶ月後の事だが
それはまたいつかお話します。