体験談V 心霊の世界
FILE 103【羂索】 
玄関をあけるとそこに一人の女性がいて静かに深くお辞儀をした。
手を合わせたいと以前から話して U さんだった
一緒に本堂に入り香をたく
朝5時半の静かな空気の中で真言と同時に綺麗なオーブが舞い始める

読経を始めてつかの間、それまでの空気が一変する
突然後ろがざわざわしだした。
そして後ろを通る人影が私の前まで達しながら通過していく・・・
ご本尊に向かいお唱えしているので、出入り口は真後ろになり外の光もそこからさす
誰か通ればその影が私の前まで達するので、人が通ったと分かる。
週末に知人が手を合わせに来るようになったので彼かな?と思ったが・・・・
それにしてもあまりに大勢の影が次々現れるので軽く振り向いてみる
が・・・・・誰もいない。

その後お唱えを続けるも、まるで大人数でひしめきあっているようなざわつきと
熱気に包まれ始めた。
あまりにも存在感があるのでもう一度振り向くもやはり誰もいない・・・・

最後の経文を唱えはじめた時、私の横にある香炉にまるでお焼香をするように
一人の年配の女性が現れた。
そのまま私の右肩と腕をつかみ何かを懇願するように顔を近付け斜めに頭を下げた。
その後次々順番に香炉へ焼香するように流れる空気に意識が集中してしまった。
私の後ろに大勢が整然と列をなして正座している様がありありと伝わった。
少し離れた位置で手を合わせている U さんが気になったがじっと動かない

全てを終える頃には一切の気配が消え、外からの鳥のさえずりが響き
晴れ渡るように空気が澄み、いつもの本堂にもどる。

足を崩して良いですよというと目を大きくしながら
「途中で倒れるかと思いました」と語りだす
途中で後ろに大勢こられたけど分かった?と聞くと
凄い気配を感じて・・・怖くてとても振り向けなかったと言う
そして途中から全身が暑くなり苦しくて倒れるかと思っていたと言う

後ろに整然と現れた存在が実はUさんのご先祖様方々である事を告げると
思い当たる事がある様子。
実は彼女の一族が抱えている問題は大きく、最後のより所として現れたようだ。
と言うより、ここに来るようにしたのもおそらくご先祖さまの導きであり
それ以前から、Uさんが私の家に来るようになった半年ほど前から全ての流れが
繋がっているのだろう。
一度家に来て視てもらいたいと以前から言われてはいたが、阻むように他人が家に
入れない状態にされているので行くに行けないまま今に至っているのである。

今回ここで書くことはもちろん彼女に了承済を得ているが、諸々考慮し詳細は控えます
簡単に触れると他の存在からの攻撃や進入を防ぐため家族でも出入りが困難なほど
鍵や目張り等がされている。
もちろんそんな事実は無いのだが
Uさんの守護はとても強いのだが、それを上回る大きな障りがのしかかっているようだ。
すでにそれに絡んで複数の親族が亡くなっている

今受けているキツイ影響や、Uさんの幽体に溜まっていた邪気は不動明王の火焔で
焼き尽くされたので、その際体が熱くなるのは当然といえば当然である
しかし誰でもそうな訳ではない、そうなる人はやはり普段そうなるべく行いをしているようだ
外に出るとうそのように体が軽いと笑顔を見せる帰って行った

後日尋ねて来た時「ご本尊に手を合わせますか?」と聞くと
「はい是非!」とUさんは答えた(お寺ではなく我が家の祭壇の事)
そう聞いておきながらこんな言い方もないが
「どうしましょう・・・キツイかもしれませんよ」と言うと
「大丈夫」と言うので妻に案内を頼んだ

私は先に行き灯篭をつけ香を焚き鈴で清める
その後入り口をあけ、どうぞ!と言いながら出た
入ろうとしたUさんは入り口に入る寸前に「うわ〜っ!」と言いながら数歩後ずさりした。
そして「凄い圧と言うか何これ・・・ちょっと入れないかもしれない!」とつぶやいた。
そうなるだろうとは思っていた

一切の魔を封じる結界なので例えば霊的に悪い影響を受けている人や憑依されている
人などは無意識にまず近寄らない。
それとは別に感受性の高い人や家系で神仏を粗末にしたなどある場合もやはり
威圧感に似た近寄りがたい感覚と言うか恐怖感が生まれる。
ただUさんの場合は同時に神仏に好かれる魂の持ち主でもある

自分の判断で良いですよと言うと、胸に手をあてしばらく深く深呼吸し
「大丈夫!行きます」と言うとゆっくり入った。
「鈴を一度だけ静かに鳴らしてください」と言うと恐る恐る手を伸ばす
静かな音色が響く中つかの間合掌をしていただいた。

部屋から出ると開口一番私の妻に手を貸してと言うUさん
妻は?な顔で手を出すと、Uさんはその手を掴み自分の胸にあてた
「分かります?」と言うと「うん、凄いね」と妻
心臓がバクバクしているらしいのだが私は触る訳には行かないので笑った。
Uさんいわく部屋に入った瞬間縛られたようにまるで真空パックにされた感じだそうな。

不動明王は言う事を聞かない者や仏敵を縛り教化させる綱である羂索を
左手に握っているが、彼女の家族やご先祖への気持ちから道を示す意味を込めて
縛り付けたようだ、一度決めたらあきらめてはならないという強いメッセージでもある
妻としばらく話をしていたがその間ずっと息切れするほどドキドキが続いたようである。
外に出た頃やっと落ち着いた様子を見せた
「でも何かすっきりしたような、つかえていたものが
取れたというか生まれ変わったような感じがする」と話し帰って行った。

が・・・いずれにしても、Uさん宅に行かなければならない事に変わりはない。

   現在継続中ですのでいずれまた。

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個人の屋敷等で神仏を祀る事は珍しくない
お地蔵様やお稲荷さまを敷地内に祀ってあるのを良く見ますし
観音様や石碑として菩薩様を祀っているお宅もあります。
先代から受け継いだものもあればそれ以前からここにあったという事も多いと思います。
一度祀ったら途中でやめるのはあまりに勝手な話
突然意識を失ったり原因不明の突発的な症状には、これらの事が関係している事が
あるようです。
お墓参りやお仏壇に手を合わせるだけで好転する訳ではもちろんありません
しかしそこが最初の入り口となりとても気持ちが良いものです
しかしすぐに次の問題が見えてきます
なんだ結局同じだと思う方がいるようですが、それは違います
次が見える所に一歩進んだから見えたのであって
それに気が付かなければまた同じ繰り返し。