MZ second  
FILE 72【霊群】  
事情により状況設定を変更しています

とある病院関係の施設へカットをしに行った時の出来事
長い廊下の中ほどにある洗濯室に入りその奥にある
大きな入浴室の脱衣場へ案内された
廊下と脱衣場の間にある洗濯場は洗濯機が2つあり
続いて用具入れとトイレが並んだ窓のない暗い空間(昼間電気は消してある)
脱衣場は8畳ほどで窓もあり比較的明るい
まだ新しい建物と言う事もあり清潔感あるさわやかな色合いの室内
大きな鏡が壁にあり、休憩用の椅子が2つ並べてあった
道具を開く間もなくすぐに年配の方が現れ、妻と2人で次々カットをしていく。
休憩する暇無くお昼を回った頃最後の2人が現れ、ほぼ同時にカットを始めた

私が脱衣場入り口側でおばあちゃんを、その奥で妻が最後の男性を担当
私はそのおばあちゃんの右即頭部からカットを始め、次に左側へ移動
脱衣場入り口をふさぐ形で廊下に背を向けた時だった
誰かが後ろから近付いて来る気配を感じたが、順番待ちの人や
どんな感じでやっているのかと ちょくちょく覗きに来る人がいたので
また見学の人だろうと気にせず振り向きもしなかった。
椅子が低いので私は両ひざを床につけて、耳後部から襟足にハサミを
入れていたのだが、その私の斜め後ろから覗き込む気配を感じた時
それが霊であると気がついた
あ〜やっぱりいるんだ・・・・」そう思いながら・・・私より低い位置に顔・・・?
 チラッと見てみると 床を這いながらすぐ後ろにいる老婆
古い着物姿で真っ白い顔にくぼんだ目、そして白髪まじりのミディアムな髪
 まじかよ〜・・・・と思う間もなく
私の右腕上部に顔をのせるようにこちらを見つめて来た

どうする訳にもいかず、その場でカットしているおばあちゃんに分からないように
ぐっ!と力強く右へ振り向き睨む
ほぼ同時に一瞬で数メートル手前の廊下へ消えた
その瞬間から部屋の雰囲気が一変した!
梅雨だというのに気温30度近い真夏日で、暑かった室内だったはずが
突然鳥肌が立つほど寒気と何とも言えない張り詰めた空気を感じた
妻がカットしていた男性が「寒いな・・・冷房入ってる?」と口を開いた
脱衣場に冷房は無いし建物内も冷房は入っていない事を確認。
上着を着たいとまで言い出した。
そうこうしている間に私の方は終わりおばあちゃんは出て行った
妻はまだカットしていたが、気になった私は一人部屋から一歩外に出て
洗濯場に行き、薄暗い中でしばらくじっと様子をうかがってみた。
洗濯場から出口の廊下を眺めていると、ヒラッ・・・と何かが動いたように感じた
そして向かって左側の壁伝いに点々と手をついて歩いてくる
かのような動きが視えた。
しかしその後動きは感じなくなった
「仕上げお願い」と妻に声をかけられ振り向いた時、今視た壁の動きが
妻の背後にいた!
おいおい!と思い、すぐに妻の背後に回り込み妻に気付かれないよう追い祓う
やはり一瞬で廊下に退いて行ったのを感じながらハサミを手に取ったとき
洗濯場の先に浮かぶ出入り口から視えたもの・・・・
廊下を右から左に列をなして歩いている霊群に唖然としてしまった。

それでも見て見ぬふりでチェックを入れてた私だったが
後ろで妻が寒そうに両腕をこすり合わせていた・・・・
小声で「寒い?」と聞くと「う〜ん・・何か鳥肌立っちゃって」と妻
怖がるだろうとあえてその話はしなかった
男性が終わる頃にはすでに雰囲気も元に戻っていた。
異常なほどの張り詰めた空間の変化とあまりに数多い霊の往来に
久々に緊張してしまった。
ただいずれも悪意を感じる事が無かったのと、憑こうとしているようには
感じなかったので大丈夫だろうとは思っていたものの、妻のあまりに近く(背後)に
いた年配の男性については少し気がかりではあった。
午後1時頃、お店に戻り通常営業に入った
同時に妻が頭痛薬を出したので聞くと、急に頭が重くなったと言う
まあ影響はうけるだろうとは思うが憑かれている訳ではないのでしばらく
様子を見る事にし、やはり話はしなかった。

閉店後、自宅に戻り夕食を食べ始めた
食べ初めて間もなく3歳になったばかりの息子がおぼつかない口調で
突然リビングの入り口を指差し何かを言い出した
早口で言ったので何を言ったのか理解できず妻が「ん?な〜に」と聞き直す
「○○? ○○・・・ぜ〜んぜん怖くないよ」 指は指したまま
やはり分からず「何が怖くないの?」と今度は私が聞いた
茶碗を持ったまま長男(8才)と長女(5才)もリビング入り口を見つめたまま動かない
そして指を指したままの息子がはっきりと言い直す
「あそこに立っているおじちゃん、ぜ〜んぜんこわくないよ ぼく」

突然の話で妻は驚いていたが、私よりはっきり視えてい事に私は驚いた。
食後、妻に昼間の事を話すと「やばいの私」と気にしていたが大丈夫だと話すと
少し安心したようだがそれでも、気持ちの問題なので妻にお清めをした。

深夜自分の部屋でPCをしていると横を通り過ぎたりしたが、1、2日いるのはいいが
それ以上居る事は許さないと伝えるとその後静かになった。

翌日、宗優子さんから新しく発売になった本が届いた
 【宗優子 「極上」の怖い話】〜取り憑かれた部屋〜(リイド社発行)
   
早速開いて読み始めた時、そ〜っと右腕を触って来る昨日の霊だがあえて無視
ところが、こう言う時はある意味相乗効果とでも言おうか重なるものである
ここ数日毎日のようにお袋の所に尋ねて来る女性がいる
実はその女性の家族(母子)は事故により亡くなっているのだが
実はその亡くなった母子の霊に何度か遭遇していた。
そしてその女性が来るようになってから2匹の黒い蝶が現れる
ここ数日、私が出入りする裏口にとまっており、出入りする度目の前を舞うのである。
まったく逃げようともせず顔の周りを舞うのだが・・・・

「ごく怖」怖いですよ! 是非。


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