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FILE bV【九死に一生】
中学2年生の時、九死に一生を得る出来事があった
卓球部に所属していた私は 毎日放課後クラブ活動に汗を流していた
まずランニングを20分、その後ラリーをし、最後に試合形式をする流れで大会に向かっていた
卓球部は他の部と違い部室も無ければ専用の部屋もなかった
3階建の北校舎と南校舎、そしてそれを結ぶ渡り廊下があり、我々卓球部はその渡り廊下の
3階部分を使っていたのだ。
廊下は長さ20メートル幅5メートル程、そこに卓球台を5台位一列に並べて練習したものだ。
3階建てではあるが、渡り廊下だけは屋上があった。
つまり4階にあたるその屋上は、休み時間になれば生徒で一杯になる
両側に高さ1,5メートル程の手すりがあり、10センチ間隔で縦に鉄格子が入っていたと記憶している
その日の放課後もいつもと変わらぬメニューで練習をこなしていた。
「ちょっと屋上でダッシュの練習をしよう」 突然部長が言い出した
確かに卓球は左右へ瞬時に動かなければならない。
4階の屋上に集合した私達は一列に並び片側の手すりに手をついた
合図で反対側の手すりまで横飛びで移動するという?ダッシュか体育か分からない練習をはじめた。
なぜそうなったか記憶がほとんど無いが、そこにいた部員全員(20名前後)から
聞いた話と自分で覚えている範囲で書く。
3回目か4回目辺りの時、合図で一斉にダッシュで横飛び!
「もうすぐ反対側の手すりだ・・・」 その時 目に青い空が映った
目の前に床や手すりは存在せず空中に浮いている感覚だけ覚えている
何か後ろの方で皆が騒いでいるのを覚えている
フと気がつくと目の前には何も無く下を見ると4階したのコンクリート地面が遠くに見える
 「え? 何? どこ? なんか浮いてる感じ」 と言うか足元を押してもらっている感覚
かろうじて後ろを見ると手すりの外・・・ 右手一本でかろうじてぶら下がっていた
「離すなよ!」 「やばいぞ!」 「手掴め〜」 大騒ぎのなか
全員に引っ張り上げられた、皆目を大きくし青ざめていた
「俺 ・・ どうしたの?」
「こっちが聞きてーよ!!」
どうしてそうなったかまったく分からないが聞くと、手すり手前で空中1回転し手すりを
飛び越えたと言う。
見ていた皆は完全に落ちたと思ったらしい
慌てて手すりに駆け寄り下を見ると手一本でぶら下がっていたと言う
偶然か無意識かたまたま直系1センチの鉄格子一本を掴んだおかげで助かった
見ると真直ぐ下まで障害物の無い4階の高さ、下はコンクリートの地面
落ちていればまず間違いなく死んでいただろう。
しかし不思議に恐怖心は無かった
その時何故か重さをまったく感じなかった、
それより足元を誰かに押し上げてもらったと言う感覚だけを はっきり覚えているのである。
火事場の馬鹿力だよと言えばそれで終わってしまうが、先日こんな話を聞いた
川で溺れた少年が、水中で何か丸いような物に包まれ浮いてくる事が出来たと・・・
またビルから転落した別の少年も 同じ様な経験をし 無傷だったなど。
私の場合たまたま先生がいなかっいたので、問題にならないようにと
先生には言わないと言うことで全員一致した。


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