MZ second  
FILE 39【顔】
Re make

その日何をしてあれほど怒られたのか記憶は無い
ただ、とても悪い事をしたと言う事は間違いない
そして誰もいない真ん中の部屋で1人で寝た・・・・それが罰だった

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その部屋は家の中央にあり、周りの部屋への行き来にも使っていた
幾分広く、近所の友達が遊びに来るとその部屋へオモチャを持ち出し遊ぶ事もあった
部屋の隅にはピアノがあり姉はよく練習をしていた

学校から帰ってきて誰もいない時、私は1人で庭で遊んでいた
夕方になると 外から見る家の中は真っ暗で
誰か帰って来るまで怖くて家に入りたくないな〜と思う時もあった

ある時1人で家にいたがつまらないな〜と思い
庭に出て石を拾い集め並べていた
ふと家の方を見た
私は真ん中の部屋の正面にいたのだが窓ガラスになんとも言えない
が映っているのに気が付いた
一枚のガラスの中に男性の顔があった・・・
初め私は、誰かが中から見ているのかと錯覚した
「あれ? おとうさんいるのかな?」と本気で思った
しかし、一歩家に近寄っただけでそれは消えた
とても怖くなった・・・子供心にも
「きっと風景が顔みたいに見えたんだ」
一生懸命否定した
それからだと思うが、幼い頃私はちょっとでも怖そうな顔を嫌がった
例えばテレビコマーシャルで能面が出るとコタツに潜り込んだりとか。

そして何かをして父にどやされた!
 罰は真ん中の部屋で1人で寝る・・・
家族は皆、寝室で寝ていた
私は広い真ん中の部屋に敷かれた布団をピアノのすぐ横まで押しつけ寝た
中央では四方八方が怖い!
そこで片側だけでも安心感が欲しかった
とにかく怖くて怖くて・・・もちろん頭まで布団の中。
しかしいつまで経っても眠くなる所か目が冴える
きっといる・・・・見ちゃだめだ見ちゃだめだ
そう心で叫びながら反面「でも覗いて、そこに何もいなければ安心できる」
その両者が心の中で格闘した
そして安心を選んだ
そ〜っと布団から頭を出し部屋を覗いた
何もいない、そして左側のピアノを確認・・・いない
安堵の気持ちの中、さらに顔を出しピアノ全体を見た
そこにピアノの椅子があった
そして椅子の上に
首から上だけの顔が私を睨んでいた!

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今でもその顔は覚えている
表情は無く、薄い茶色とでも言おうかとても痩せている・・・・まるでミイラのような顔
睨んでいたのか見守っていたのか・・・今となっては分からない

 初めて霊を見た幼い日の記憶。

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