MZ second  
FILE 18【猫の不思議】
今回はちょっとほのぼの系?
  猫の習性について少し。

猫ほど我侭気ままに生きているペットはいない
「犬は人につき猫は家につく」と言う
これは納得である
食べたい時に食べ、行きたい時に行きたい所に行き、寝たいときに寝る。
気が向けば多少愛想も振り撒くが気が乗らない時は冷たい目で無視もする
私の家では私が物心ついた頃から猫を絶やした事がない
何となく皆がそれなりに猫が好き程度なのだが、なぜか昔から猫が集まるようになっている
捨て猫がいれば「この家は猫が好きだから」と言う理由で人が置いていく事もある
多い時は7.8匹いた事もある
今はとりあえず3匹だがそのうちまた生まれるだろう・・・
猫にも性格があり気難しいのから臆病者、誰にでも媚びるのや人間を完全に無視する奴
中には義理堅く、受けた恩をちゃんと返した猫もいた→[第28話
猫の恩返し](ジブリめ・・パクったな!?)
過去様々な猫と出会い、そして別れたが、とても印象に残った猫が3匹いる

ピー(P)ちゃん」(♀)
彼女は私が小学校低学年の頃、下校途中の神社の軒下から拾ってきた猫である
まだ手の中に入るほど小さく震えていた
ランドセルに入れ、隠して家に持ち込んだ
怒られると思いタンスに隠したが、泣き声でその日のうちに見つかった
この猫はとても頭が良くプライドが高い猫だった
彼女の一生を一言で言うならば「凛」とした生き方だった
細身の彼女はよく窓際で外をじっと見ていた
その姿そのものがとてもオーラを感じたものだ
白と黒の毛はビロードのように艶があり綺麗だった
道路を渡るときは必ず一度止まり車が来ないのを確認してから渡った
よく母も言っていたがまるで人間のように話を聞き、言っている事が分かっているようだった
数多く子供を産み生涯家から離れる事が無かった彼女の晩年も彼女らしかった
年を取り、外に出る事もほとんどなくなり好きな窓際でいつものように朝から丸くなっていた
ポカポカ暖かかったその日の午後、窓際の廊下を歩きはじめて振り向いた。
庭に私と母がいた
振り向き じ〜っとこちらを見たまま動かない
じ〜っと見ているので気になりこちらもしばらく見ていた
その目を見てとても不思議な気持ちになった
寂しいような、悲しいような、不安なようなただならぬ感覚と言うか・・・
母もその光景を忘れられないと言う
そして衰えをまったく感じさせないいつもの歩き方で家を出て行ったまま2度と戻る事は無かった
猫は自分の死が近いと感じた時、死に場所を探して人前から姿を消すと言う。
私が思うに猫には多分その土地土地に猫同士、暗黙の了解の下
死に場所となる所が存在しているのではないかと思う
あれから17年、未だに母は言う
「きっとお別れを言ったんだよ、あれは・・・
  何か語りかけるように はーるか見てたもん」

そう言って大学ノート1冊にまとめた彼女の一生を読み返している。

ぼの」♀
販売員をしていた頃、たまたまお邪魔した年寄りの家で産まれた子猫を思わず
もらってしまった事がる。
アパートで一人暮らししていたのでつい・・・
ペット禁止のアパートであったが室内で隠して飼っていた
真っ白な猫でおとなしく、いつでも寄って来たかわいい奴だった
たまたまその時好きだった漫画「ぼのぼの」から名前をとった
自宅を事務所代わりにしていた事もありほとんど一緒にいた
ある時元気が無くなりご飯も食べなくなったので病院に連れて行った
他に猫をつれて来ている人も多く順番待ちしていた時、一匹が暴れだし
飼い主をはじめ先生にも噛み付きえらい事になった時も腕のなかでじっと動かなかった。
首に注射をするとき私をじっと見たまま動かなかったえらい奴。
寝るときは潜ってきて起きるとついてくる
呼べば必ず返事をした
外出する時は車に乗せて行ったりもした
しかし私の部屋は頻繁に人が出入りし、中には猫嫌いな人もいた為
やむなく実家に連れて行き託す事にした。
帰り際、寂しそうな「ぼの」を今でも忘れない
一月もしないうちに、大人になる頃猫がよくかかる病気になり死んだと聞かされた
心が通い合った猫は「ぼの」だけだったと今でも思う
最後まで一緒にいれなかった事を今でも悔やんでいる
もし出来る事なら、もう一度あいたいと今でも思う。

ミル」♂ ペルシャ
サロン開業と同時に、知り合いの家で生まれた子猫をもらった
本名ミルク、通称ミル。
まだ子供もいなかったので子供のようにかわいがっていた
全身グレーでほんとにかわいかった。
家から出す事もなく、室内猫として走り回り レジの横にカゴを置きその中でよく寝ていた
お客さんにもかわいがられたやんちゃ者
大きくなってから外にも出すようになったが、初めて出た外で野良猫と遭遇!
喧嘩になった・・・
思わず飛んでいって相手の猫を脅し上げ退散させた
それ以来ミルは私をボスと決めたらしく、「来い」と言えば即横に来た
どんなに外で遊んでいてもドアを開け「帰ってこ〜い」と言えば転がるような速さで
飛び込んできた。
それを見るたび妻は「ほんとにパパの言う事だけは聞くよね」と笑っていた
歯車が狂いだしたのは妻の出産間近の頃から
子供が生まれたら猫大丈夫かな?
そんな話がたまに出るようになった
寝室を入れないようにして赤ちゃんはそこに寝かしておけば大丈夫じゃない?

「一つ迷信がある」
子猫はその家に赤ちゃんがいると競争する
つまり自分を生かすために赤ちゃんを弱らせる力を持っているというもの・・・・

それはさておき、赤ちゃんが生まれた
一週間後退院してきた時、外に出ていたミルが帰ってきた
そして入り口で座りまっすぐ私を見つめた
あまり気にせずかたずけをしていたが、思い出したように気になり呼んでみた
いつもなら直後に飛んでくるミルだが一向に帰ってくる気配がない
心配になり近所を呼んで回った。
結局その日を境に2度と帰って来なかった。
それから3ヶ月ほど経ったある日、お客さんからミルを目撃したと聞いた
寝ぐらにしていると言うとある家の縁の下を見に行った
ワラが置いてあるそこにはグレーの毛玉が沢山あった
しばらく待ったが現れる事はなかった
それから5年
娘も生まれ子供2人をバイクに乗せて裏道を散歩がてら走っていた時
猫が道を横切った
それは泥やスス?で汚れて毛玉だらけになっていたが、明らかにミルだった!
思わず降りていって呼んだ
「ミル! ミル!!」
子供も何か分からないのに一緒に呼んでいた
10メートル程先の傾斜の畑で止まり振り返ったミル
毛玉だらけではあったが力のある目でつかの間見つめ、そのまま走り去った
臆病で呼べば逃げるように走り込んできたミルはそこにはいなかった
野良の一員として猫の集会にちゃんと出ているのだろうか・・・
雄の猫は大人になると旅に出るのが普通
しかしミルの場合は
自分から見を引いたのだと今でも思っている

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