-第7話- 【 首 】
人形師が精魂込めて作った人形には魂が宿ると言われています。
何気に買ったりもらった人形も粗末にすると・・・

高校の頃、夏の合宿があり4日間学校に寝泊りしたことがありました。
初日、全員に新しいユニフォームが支給され皆喜んですぐに試着しました
半袖のポロで胸にポケットがあり、表面に人間の形のマークが貼ってありました。
合宿3日間は何事も無く、4日目の最終日
朝、皆ユニフォームに着替えて集合しようとした時でした。
私のユニホームのポケットについてる人間のマークの足の部分がめくれているのに気ずき
何も考えず、引っ張ってその部分を引きちぎったんです。
周りの皆は、「アイロンかければ張り付いたのに」と言ったんですが気にもせず
ランニングに入りました
5分ほどたった頃、突然ひざに激痛がはしり動けなくなってしまったんです。
保健室に担ぎ込まれたものの、ひねった訳でもなし外傷もなく、少し休みなさいと
いわれ横になってました。
女子部員の1人が「縫っといてあげるよ」と朝取ってしまった足の部分を
縫ってくれたんです。
とたんに痛みが消えて なんともなくなってしまったんです。
それ以来人の形の物を粗末に出来なりました。

卒業後、理美容専門学校に入り1年ほど経った頃、ヘアーコンクールに興味を持ち
その年にあったすべてのコンクールに出場しました。
大会前1ヶ月は深夜2,3時までお店でレッスンし、寮に戻る日々が続いてました
出場部門によって違うんですが、私がエントリーしていたフリースタイルは
ウイック(カット練習用の首マネキン)を使う競技で、その競技用ウイッグはかなりリアル!
パーマ用のアイロンで額や頬を焦がすと、やっぱり同じところを怪我するんです。
見事に同じ所を!
捨てるに捨てられず、今では30ヶ以上の首が物置に並んでます。
そのうちの2ヶは、サロンの階段に置いてあり、ふだんは壁に向けてあるんですが
その片方がよく動くんです!
朝2階から降りてくるとちょうど目の合う向きになっているんです
始めは誰か触ったのかな? 位に思ってたんですが、壁側に向けても
通るとこっちを向いてるんです。
嫁に聞いてもいじってないと言うし・・・
始めは怖かったんですが、人間の慣れと言うのはすごい物で
だんだんかわいくなってきて、今では毎朝 頭ポンとはたいて「おはよう」まで
言う仲になってます。
他の首はと言うと・・・
おふくろが・・・やめればいいのに、外見えないとかわいそうだからと
 「物置の窓に棚作っ並べてます」
窓から覗く何十個もの首を見て、来たお客さんびっくりしてます。
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そう言えば・・・
私が始めて怖い体験をしたのもやっぱり首から上の顔を見たことでした。
小学生の頃、何かいたずらして怒られて「真ん中の部屋」と言う当時ピアノが置いてあった
広い部屋で一人で寝かされた時、夜・・真っ暗で怖くて怖くて目を閉じてたんですが、何かの
気配で目をあけたら
ピアノの椅子の上に首が乗っていて私を見下ろしてたんです
かなり痩せたかんじのちょっと茶色ぽい顔で表情がなく、今でもはっきり覚えています。

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     あれ! あなたの後ろの その人形 今動きませんでした?
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