-第3話- 【 警告 】
私の修行時代の体験です。
当時まだ20歳だった私は、修行先の理美容店の寮に住んでいました。
スタッフが15名もいた為1部屋に3人ずつ住んでいて、毎日レッスンに明け暮れ
門限9:00の寮に帰って来れるのが10:00過ぎという、とても矛盾した毎日でした。
まだ若かった私達は、深夜寮を抜け出しドライブするのが恒例の行事になっており
その日もいつものように、お風呂の窓から総勢6名が脱走!1階の駐車場から車を手で
押して表道りまで出して いざ出発、さらに他のサロンで働いている2名も合流!!
完璧でした、   そこまでは・・・・・
ちょうど午前0時を回り、その日なぜか戸隠方面に向かい2台で善光寺裏から七曲がり
を登っていきました。
バードラインまではわくわくしていたものの、峠からは誰も話をしなくなり、だんだん寂しい
山道になった頃車をとめて後ろの車に「どこまで行く?」と聞きました。
「火葬場があるから行こうぜ」の後続の一言で火葬場に行き、駐車場でエンジンを止め
2台並んでしばらく真っ暗闇の世界と煙突を見てました。
そのときふとバックミラーをみたら ! (@@;
友達の顔でした・・・
何事も無く、帰ろうという事になり火葬場を出て、来た道を引き返した・・・はずだったんです!

戸隠はちょくちょく遊びに行っていて道に迷うはずなど無いのにもかかわらず、いつもの
近道がいつの間にか すれ違いも出来ない細い山道になってしまい、
車を止め、後ろにどうするか相談、
ここではUターンも出来ないのでもう少しいって広い所を探す事にし、また進み始めました。
しかし、行けども行けども広くならず、整備されていないのか枝が道まで広がり、すりながら
進んで行くうち ついに砂利道になってしまったんです。
後部座席から 「おい、やばいぞ」 の声に運転していた私も内心やばいなー・・・
と思いつつも 「大丈夫だよ、道はどっかにつながってるもんだよ」 と言っている側から
霧がモヤモヤ〜っと・・・!
助手席からは 「これ多分方向的には長野方面向かってるよ」・・・ うそつけ!!
「なんか出そうで怖いな」なんて言ってた矢先、霧で視界が悪い中、
突然2人の 年寄り夫婦!? がライトに照らし出されたんです!
 「深夜2:00過ぎ こんな人気の無い山道なんで歩いてるんだ、止めるな」 
 「道、聞け」 
 「ばか、やめろ
 「かわいそうだから乗せてやれ
 「じょーだんじゃねーよ
車内はこんな会話でパニック
私は止めずに行こうと思ったんですが、手を上げるんです・・その夫婦!
仕方なく車を止めました(やめればいいのに)
コンコン ・・ コンコン ]おじいさんが窓をたたきました
 「おまえあけろよ
 「やだよ!おまえあけろよ
仕方なく私が運転席の窓をちょっとだけ(5センチくらい)あけました
 [ちょっとそこまで乗せてくれんかの]と私達の進行方向を指差しました
 「どこまで行くんですか?」 と私、  
 [ちょっといったところに家があるんだ] (おじいさん)
 「僕達長野に帰りたいんだけど、この道何処へ出ます?」 と私
 [このまま行けば、長野市に出れるよ] (おじいさん)
 「僕達急いでるんですみません」 と言い残し車を出しました。

後の車もぴったりくっついてきます、そして1分もしないうち(距離にして3,400メートル)
パッと霧が晴れたんです、なんと!! 目の前の道が切れてるんです。
その道は川に飲み込まれていて、そのままいけば川に落ちてました!
向こう岸をライトでてらしても、絶壁で道が無いんです!
もちろん家も!
そして遠くからなんとも言えないかすかな笑い声!
後続車に「早くUターンしろ」と言い私自身何回も何回も切り替えしやっとの思いで
反転させ、来た道を戻りました  1分・2分・3分・・・・・
 いないんです、あの年寄り夫婦
 1本道で歩いているはずの年寄り2人!
周りに明かり1つない場所なのに!
最後まで行き会うことなく・・・・・まるで化かされたようでした。
来た道を戻るのに1時間近くもかかり、やっとのことで火葬場近くまで来てから
車を止め、全員降りて一服しました。
知ってる道まで来た安心感からか、さっきの年寄り夫婦のことで盛り上がりました。
うっすら東の空が明るくなり始めたので、早く帰ろうと下り始めた私達の前に
なんと今度は若い女性が とぼとぼと・・・
女好きな懲りない後部座席の連中が「止めろ、止めろ!」と、仕方ないので横まで来たとこで
止め、後部連中が窓を開け「こんちは、どうしたの?」と一言。
20代半ばくらいのその女性は下を向いたまま背中まで隠れる長い髪で顔がまったく見えず
ピタッと止まり、クルッ!と反転・・・またとぼとぼ歩き出したんです・・・
5,6歩あるいた所でまた止まり、クルッと回ってまたこっちに向かって歩き出したんです!
まるで 貞子!
ホントに怖くて急発進させ、7曲がりをくだり始めたのですが ブレーキがまったく
効かなくなってしまったんです。
どんなに強く踏んでも スカスカ状態 
サイドブレーキで反回転しながらやっと止まりました。
その後エンブレとサイドブレーキを駆使して何とか寮までたどり着き、
見事に寮長にばれ、整列の後全員ビンタをもらいました。
しかし年寄り夫婦といい、女性といい、何だったのか今もって謎です。
遊び半分でそういう場所へ行った我々への警告だったのでしょうか?
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