-第2話- 【メッセージ】
4年前、まだ寒い日が続いていた4月の初旬、おばちゃんが亡くなりました。
おばちゃんの家は 私のサロンの向かいの家で、私の家族は親戚のように
お付き合いをしていて、私自身 小さいころからお風呂に入れてもらったり
ご飯を食べさせてもらったりと、とてもかわいがってもらっていました。
お通夜の日、独立して方々に散っていた息子さん達や親戚一同あつまって
慌ただしく、そして しめやかに準備している様をお店から見ながら
遊んでもらった頃のことを思い出したりもしました。
お葬式が終わったその夜のことでした。
その夜は変に暖かく、早めに就寝しようと布団に入ったのですが寝苦しくて
何回も寝返りをうちつつ、いつしかうとうとと・・・そして深夜・・・・
 「 チリーン ・ ・ ・ チリーン・ ・ ・」 
あまりに鮮明な鈴の音色にびっくり!
妻も「今の鈴の音だよね・・・」と恐々
部屋の中で響いてはいるものの、私の家に鈴はないんです。
もちろん窓はあいていません。
おばちゃんの葬式の後と言うこともあり、そのことはおばちゃんの家族
には話しませんでした。
おばちゃんの息子さんで長男のKさんは東京で暮らしていて、
月1度掃除などで実家に帰ってくるんですが、今年のお盆に帰って
来たときカットをしに来店してくれました。
会話が途切れたとき、ふと4年前のお葬式の晩の出来事を何となく話したんです。
話を聞き終わったとき、Kさんは顔色を変え、店を飛び出して自宅に走っていき
数分後戻ってきました。
Kさんによると、4年前のお葬式の後、家族でおばちゃんの遺品を整理していて
一番奥の部屋の使っていなかったタンスを開いてみたら、
そのタンス全部に 「鈴」 がきれいに並んでいたそうです。
おばちゃんの家族は誰もおばちゃんが鈴を集めていたことを
知らなかったそうです。
そしてKさんは「これがその中の一部だよ」と、両手いっぱいの[すず]を
見せてくれました。
思わずみんなで涙ぐんでしまいました。
あの夜おばちゃんは、私達にお別れを言いにきてくれたんだと思っています。
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