-第19話- 【悲しみの霊】
その日松本からの帰り道、不思議に今まで通った事のない峠に入りました
今考えるとそれも引っ張られたのか呼ばれたのか ただの偶然か
しかし、それに答える事が出来なかった・・・
○○峠、バイパスやアクセスが開通した現在、利用する人が少なくなり
余り車も通らない
が ゆえに起こった悲劇がある
当時(22歳の頃) 松本や塩尻に毎日のように行っていて
19号か峠のどちらかを通っていたのですが
いつも夜8、9:00頃南信に飛んでいき、深夜2.3:00頃帰ってくるという
過酷な生活をしていました
いつもなら国道を行くところ、なぜかその日なんとなく峠にはいりました
そこの道は狭く、すれ違いもどちらかが止まるような道で
カーブも多く そう言う意味で夜はかなり怖いイメージがありました
途中トンネルが何箇所かあり 対向車が来ないかそのつど気になってました
頂上付近に最後のトンネルがあり そこを抜ければ後は段々道も広くなる
そう思いながらトンネルに差しかかりました
そのトンネルは、10メートルほどの短いものですが 急カーブの中ほどにあり
抜けた直後は断崖絶壁
気をつけようと思いながらトンネルを抜ける寸前 ”目の前に人!”
   [ キー ] 急ブレーキで止まったものの誰もいない
確かに背の高い男性が道の真ん中に居たんです
    ・・・・・・・
ゆっくり走り始め その後何事もなく岐路につきました
はっきり男性と分かるほどのシルエットだった物の、しかしよくよく思い出してみれば
ライトに照らされていたのに顔が見えなかった、つまり影の様な・・・・・
数日後また松本に行った帰り、たまたま友人の”K君”が同乗していて
その時の話をしたら 「じゃあ いってみよう」と言うことになり
またその峠に入りました
ちなみにこの ”K君” は第4話と第6話の時も居ました
問題の頂上のトンネルに差し掛かったところで徐行しトンネルに入りました
何事もなく通り過ぎようとした時 「ヴゥォ〜〜ン」 と
どう表現していいかわからない低い音がトンネル内で響き
鳥肌たててあわてて下りました。
その後その峠には行かないようになりました
1週間ほどして、K君がアパートに遊びに来たので
インスタントラーメンを作り 2人ですすりながらTVをつけました
お昼ちょっと前のニュースが流れ なんとなく見ていたら
○○峠のトンネルを抜けたカーブの崖の下で、転落している車が見つかり
中から男性の遺体が発見されたとの放送を見て
2人でラーメンをすくい上げたままの同じ格好で固まってしまいました
転落してから 数ヶ月経っていたそうです
あのトンネル付近でただならぬ雰囲気を感じたのも事タであり
きっと見つけてもらいたくて出てきたと 今は思っています。
あの日、もし車から降りていれば  もっと早く・・・

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