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| 第9章 ユリの正体
その住所はまぎれもなく恵の家だった 家の前に来た幸一は戸惑いながらもベルを押した 出てきたのは恵の父親だった 幸一を見て父親は驚いた 「幸一君じゃないか! ・・・どういう事かね・・・・まあ入りなさい」 そう言われ幸一は居間に通された そして恵の父親はポケットから携帯電話を取り出し机の上に置いた 「この携帯がどうかしたのかね?」 「実は・・・・」 ある女性と一緒に暮らしていた事を打ち明けその女性が使っていた番号が この携帯電話である事を伝えた、もちろん事件の事は伝えず。 父親は、この携帯電話を最近まで探していたと言う 恵が自殺した時実はこの携帯電話を握っていたそうだ そして通夜の晩、携帯電話が無くなったという 恵がいつも持ち歩いていた物なので形見にしようと思っていたのだが 何処を探しても見つからなかったそうだ ところが昨日から今朝にかけてどこかで電話の鳴る音が何度も聞こえた 初めは近所の家の電話の音かと思っていたそうだ そして今日になってそれが2階の恵の部屋から聞こえている事に気が付き 行ってみると机の上にポツンと置いてあったと言う。 何度も確認しそれまで無かったのに・・・と不思議そうに父は言った その時出てみたのが先ほどの幸一からの電話だったのだ。 「君が一緒に暮らしていた女性がこの携帯を持っていたと言う事かね」 「・・・・そう言う事に・・・なります 」 「実は・・・恵の初七日の日、この番号は解約したのだが・・・」 「えっ? ・・・だってさっき話しを・・・」 幸一は机の上の電話を取り時報117を押した プー プー プー プー プー 「ばかな!・・・電話貸してください」 恵の家の電話からかける 〜ただ今おかけになった電話番号は現在使われておりません〜 ただ今お・・ 2人は黙り込んでしまった 母親がお茶を入れて持ってきた 「幸一さん、久しぶりです・・・・お元気にしていました?」 「はあ・・・・」 父親が尋ねた 「一緒に暮らしていたお嬢さん、何ていうお名前の方かね」 「黒沢ユリと言います」 母親の動きが止まった! 幸一は見逃さなかった「知っているんですかユリを!」 母親は何も言わず部屋から出て行ってしまった。 「お父さん、何かご存知ですか?」 「いや・・私は何も知らんが、母さんは知っているようだな、私から聞いてみよう」 父親も部屋を出て行った 5分ほどして母親だけがもどって来た 手にノートを持っていた それを幸一に渡し言った 「これをあなたに差し上げます、娘の日記ですが私には理解できない事ばかりで・・・ これ以上お話する事はありません、お引取りください」 これ以上聞くのは無理と判断しそのノートを持ちその場を立った その時一緒に机の上にあった携帯電話をポケットに入れた 盗難車を走らせ近くの河川敷に車を止めた、そして恵のノートを開いた ○月○日 今日は幸一とデートの日だった(略 ○月○日 なんでけんかしちゃうんだろう、でも仲直りできたし・・・(略 ○月○日 彼女が現れた! 彼女? 誰だ? ユリか? そしてパラパラめくると突然恵ではない字のページが現れた ”私をどうしようと言うの? あなたがどんなにがんばっても私を消す事は不可能なの” 「何だ・・・だれだこれ・・・」 そしてその文字はその後頻繁に出て来るようになった ”また新しい薬? 無駄よ フフフ” 「薬? 服用していたやつか」 ○月○日 病院に行く回数が増えてきた 彼と別れてから一週間、何とかしなければ・・・彼の為にも 彼って・・・俺の事だ 俺の為ってどういうことだ? そして次のページ ”あきらめの悪い人ね! いいじゃない どうせ私は 貴方なんだし” わたしは貴方って・・・ ○月○日 今日も彼へ電話・・・・ 彼の前には彼女まだ現れていないようで安心。 そして空白のページが続き最後の1枚に恵の文字が 「幸一さん、こんな私と付き合ってくれてありがとう 貴方を救うにはこれしかないの 私が生きている限り彼女は消えない・・・ ユリはもう1人の私。 以前付き合っていた男性の元の彼女をユリは殺してしまったの その彼も2月後何故か餓死しました、多分ユリが・・・ ユリは邪魔な存在は必ず消します 幸一さんにはそうなって欲しくないのです 今日まで薬で何とか多重人格を抑えてきていたのですが・・・ 私は彼女を連れて行きます 本当にやさしくしてくれてありがとう、幸一さん」 ・・・・多重人格! そんな事が本当に ・・・ ユリはもう1人の恵? 馬鹿な・・・ 恵はすでに死んでいるんだぞ、多重人格もなにも その人間自体いなければどうやって・・・・ばかな だって俺は一緒に暮らしていたし顔だって全く違うし・・・ その時ポケットの携帯が鳴った 解約したはずの電話・・・ 「ユリだ!」幸一は確信した |
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