6年後
仮釈放の身ではあったが6年と言う月日は幸一をすっかり変えた
とにかく遠くに離れたい気持ちから北海道に来た
人口2千人程の小さな町の工場で仕事の口を見つけた
そしてその工場の2階を間借りし住む事になった
もちろん刑務所に入っていた事は誰も知らないが
黙々と働く幸一に親方はやさしかった
そんな折、親方夫婦の薦めもあり1人の女性と知り合った
もう女とは関わりたくない気持ちで初めは避けていた幸一だったが
親方の紹介と言う事もあり何度か一緒に出かけた
周りも二人の仲を応援し、幸一もいつしか彼女に打ち解けていった
そしてそれは同時に過去の忌まわしい出来事を忘れさせてくれた

そんな折「夕飯食いに来い」と親方夫婦に言われ彼女と2人で出かけた
食事をご馳走になっている時親方が急かすように言った
「そろそろ式でも挙げてやったらどうだ幸一、ん?」
「あ・・はい幸一は彼女をチラッとみて苦笑いした
彼女は赤くなっていた
部屋に戻る途中で幸一は言った
「お金が無いから・・・もう少し待ってくれ・・・ごめんな」
「ん〜ん、いいの」笑いながら彼女は首を横に振った
「あっ、それから今日電話工事の人来たから今日から電話使えるよ」
「そうか忘れてた今日だった、ありがとう助かった」
部屋の前に来た時電話が鳴っているのに気が付いた
慌てて鍵を開ける幸一、ドアを開け一歩入った所で留守電が流れた

は〜い!幸一で〜す、今いませ〜んごめんちゃい!
また電話してね〜っ キャハハッ


・・・この声・・・」 幸一の記憶が一気に蘇った


  「ついでに私が録音しておいたのよ ふふふ」
  彼女が微笑んだ
  まさか! お前・・・
  そして彼女は静かに答えた

  「もう浮気はだめよ、3度目は無いからね  幸ちゃん!」

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