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| 第1章 ことの始まり・・・
幸一がその女と出会ったのは、幸一の元彼女だった恵の通夜の帰り道だった 恵とは1年ほどの付き合いだった 普段の恵はどちらかと言うと内向的な性格で自分から積極的に行動を起こす タイプでは無く嫌な事があっても内に秘めてしまう その為かなりストレスを感じていたらしい、自殺の原因もその辺りではないかと言われた 幸一と別れてから一月後の悲劇だった 精神的に弱かった恵を幸一は出来る限り支えたつもりだったが 精神科の薬を多数服用している恵を見ているのは辛かった 通夜の席で、恵の両親も幸一に感謝の言葉をかけた しかし幸一は本心ではホッとしていた 実は別れてからも毎晩かかって来ていた恵からの電話に嫌気がさしていたのだ 毎晩のように出口の見えない精神的な悩みを聞かされていたからだ 時にはハイテンションになり突然人が変わったように暗くなる 未練があるのは十分伝わっていた、しかし幸一はそんな恵にうんざりさえしていたのだ 会社の飲み会の時軽い気持ちで職場の女性と一夜の浮気をした 恵は会社から幸一の後をつけ浮気するまでを監視していたのだ 別れた原因はそれだった 恵は物静かだったが元々芯が強かった、それがいつしか歯車がズレ 芯の強さが思い込みの強さになり嫉妬深さに繋がったのかもしれない そんな恵の電話に付き合い時には3時間も話を聞かされた 最後は決まって「浮気の事はもう言わないから今度行っていい?」 正直これでそんな電話からも開放されると安堵の気持ちにさえなっていた そんな帰り道、一杯飲もうと立ち寄ったいつものバーで彼女に出会った カウンターの奥の狭いテーブル席へ滑り込む それほど混雑してはいないが気分的に人目を避けたかった メニューを開いた時一人の女性が入ってきた 迷うことなく幸一のテーブル席の前に来た、そして一言 「同席してもいいですか?」 「えっ・・」驚いて見上げた、小柄で明るそうな女性にとても魅力を感じた幸一は 「あ・・・ どうぞ」と答えた。 下心も当然あるが紳士的に振舞う幸一は通夜の事もすっかり忘れた 「待ち合わせですか?」 「いいえ1人です、あなたが入るのを見たので」 「えっ?」 「私のタイプだったの(微笑」 そう言われて悪い気がする男はいない 「いや・・・そうですか 照れるな〜」少し困って見せた まあこんな出会いもあるかと思いながら舞い上がる幸一 しかしこの出会いが幸一にとって人生最悪の結果を招く事をまだ知らなかった |
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