BAR
恐る恐るドアを開け中の様子を窺う初老の男性
「どうぞ!」 とバーテン。

それほど広くない店内はほぼ満席
カウンター席が一つ空いているだけ

うるさくは無いが皆それぞれ隣同士真剣な顔つきで話をしている
カウンター席に座る初老の男性
「どうぞ」 白い飲み物の入ったグラスを差し出すバーテン
見ると皆同じ飲み物

突然後ろの席にいた女性が泣き出した
驚いて振り向く初老の男性
店内を静寂が襲う
「そんなの納得できない!」
そう叫ぶと女性は入り口のドアに向かった
「まてっ! だめだ・・・」 同席していた男が止めたが女性は飛び出して行った
皆がっくりと肩を落とした

「あの〜 なぜ駄目なんですか?」 バーテンに尋ねる初老の男性
「あそこは入り口で・・・出口ではないんです」
話終えるや否や、後ろの席の3名が立ち上がり言った
「ありがとうございました、それでは行きます」
何も答えず笑顔のバーテン
そして3名は乾杯しグラスを空けた
3人は互いに笑いあい光に包まれ消えた!

「自分の気持ちの整理がついたらで良いんですよ」
驚き顔の初老の男性にバーテンがそっと伝えた
・・・・・
「あの女性はどうなるのでしょう?」
「ここには2度と戻れません」
「そうですか・・・・きっと恨みや憎しみが強いのでしょうね・・・」
そして初老の男性は自分の話を始めた

「私の最後は幸せだったと思います
 そりゃつらい時苦しい時も
   多かった
 息子がね・・・
あいつとは色々あって・・・・・
 でも最初に駆けつけてくれてね!嬉しかった
 定年後は趣味の釣りをしながらのんびり暮らしていたし
 そりゃ〜まだ他にもやりたい事はあったが・・・・
 でも皆に囲まれて・・・
 孫もがんばれ〜がんばれって一生懸命言ってくれてね
 これからはその孫をいつまでも見守ってやりたいと思っています」

「私そろそろ行こうと思っていたのですが一緒にどうですか?」
話に耳を傾けていた隣席の男が声をかけた

目を瞑り一息ついた後笑顔で答える初老の男性
「そうですね、行きましょう!」
2人は立ち上がりグラスを空けた

そして2人は光に包まれ天国へ導かれて行った

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